ビワの種は食べるとなぜ危険!?その理由と人体への影響について
良い香りと優しい甘さがおいしいビワ。大きな種が入ってますよね。小さい時には、もっと実が大きかったらいいのに~ってよく思いながら、何個も食べてました。
種は食べずに残していましたが、健康にいいという情報もあるようです。漢方などの古くからの使い方としては、咳止めにビワの種が使われていました。海外では、がん治療に使用されるケースもありました。
しかし、実際のところは有毒成分があるので安易に使うのは危険という事が分かってきました。農林水産省からビワの種への注意喚起がなされています。
そこで、今回はビワの種は食べるとなぜ危険なのか、どんな影響があるのかについてご紹介いたします。
ビワの種は食べると危険!人体に有毒なシアン化合物に注意!
ビワは、ウメやモモ、スモモ、サクランボなどのバラ科の植物です。
未熟なときは種に有毒成分が含まれています。
これらの種に含まれるのは、アミグダリンという物質。これは、シアン化合物の一種で人体に悪い影響を及ぼします。
体内で酵素や腸内細菌によって分解され、有毒な青酸を作り出します。青酸は一度に大量摂取すると、頭痛・めまい・嘔吐・呼吸困難などの中毒症状を引き起こし、重篤な場合は死に至ります。
漢方で、咳止めなどの薬効を目的に使用するにしても、高度な専門知識や経験が必要とされるのです。
ビワの種が健康にいいという根拠は?
たしかに、ビワの種を使って薬効を利用してきたことは事実です。その薬効のもとになるのが、アミグダリンであることも分かっています。
正式には認められていないものの、アミグダリンはビタミンB17という別名で呼ばれることもあり、抗がん作用をもつ物質として実際に海外で薬品として製造されたりしています。
しかし、初期段階では毒性が強すぎるとして製造が中止されていました。その後、毒性を持たない状態のレートリルという物質が製造されるようになり、実際に治療が行われました。
このような経緯があり、ビワの種を健康や病気治療のためによいという情報が広まったと考えられます。
抗がん作用は純粋にアミグダリンによる効果かどうかが証明されていません。
多くの症例報告や臨床実験の結果、レートリル療法のみでがんが完治したり、めざましい効果が得られたものはありません。同時に抗がん剤投与等の治療を進めている例も多く、実際の効果のほどは不明なんです。
強い薬には副作用もある
医療現場においても、レートリルによって青酸中毒と同様の症状が引き起こされる副作用が出ています。それだけ体への負担が大きいこと、アミグダリンがいかに強い影響があるかを示していますね。
間違って種を飲み込んだら??ウメの梅干し・梅酒は大丈夫?
ウメは加工してから食べますが、ビワは生のまま食べることも多いですよね。ビワは種が大きくて多いし、食べる部分が少なくてつい種をかじってしまったり、飲み込んだりしませんか?
間違って種を飲み込んでも大丈夫!
安心してください!誤って飲み込んだ程度では、人体に影響はほとんどありません。個人差はありますが、中毒を起こすのは、数十個~数百個単位で一度に食べた場合とされます。
また、これらの果実は実が熟していくうちに毒性はなくなるので、生で食べれるようになったころには安全になっています。ふつうにビワを食べることは、まったく問題ないんですね。
この度、ビワの種への注意喚起が行われるきっかけとなったのは、ビワの種を粉末にした食品からシアン化合物が検出されたことでした。
市販品の他にも、ビワの種を粉末にするレシピやお酒に漬け込むレシピなどが多くの料理サイトにも掲載されていました。ご家庭で簡単に作れるとはいえ、ほんの少しでも量が違えば中毒の心配があります。
梅干しや梅酒は種ごと加工するけど大丈夫!
同じバラ科のウメですが、加工品はたいてい種ごと作られていますよね。これって大丈夫かな、って心配になりますが、アミグダリンはお酒に漬けたり、梅干しにする過程で分解されるので毒性はなくなります。
今回問題となったビワの種。熟したり、加工で毒性がなくなることは安心できますが、単に種を粉砕した商品化したものや、ご家庭で種を乾燥させて粉末にしたものを摂取すると、毒性が残っている可能性大です。
調査の結果で、たったひと匙に中毒を起こすレベルのシアン化合物が検出された商品もあったことがわかっています。過去に発生した中毒件数は、主に冬に多いです。今の時期が特に多いので注意しましょう。